パン SP

稲田徹

誕生日 パンより若々しい

身長 パンよりたくましい

故郷を離れて以来、パンの心の中には、一族を没落させてしまった自責の念や、友人を死に追いやってしまった後悔が消えることはなかった。それはずっと、パンの心の中に巣くい、息をすることさえもままならないほどに、パンを苦しめていた。これまでは、真夜中に思い出しては苦しむ程度だったが、それが徐々に形を持ち始め、やがて黒い影となってパンの心をむしばんでいく。影はまるで意思を持っているかのように、パンが孤独な時に現れては、過去の過ちを責め、力の偉大さを説き、パンを惑わせる。真夜中、目の前に現れた影は、心の悪魔が形となった幻覚か、はたまた、パン自身なのか。影は口元に笑みを携え、力への渇望を露わにする……